1月29日小勉強会の集約を受けて、当会会員2名が個人の立場から下記要望書を纏め、国会関係者との面談相談を重ねました。
地方自治法改正のみを前提するものではなく、今回の下記事態の直接の要因が、2000年の同法改正前に実施された都道府県投票が1996年沖縄県民投票一回のみであり、伴う事務も一回のみであったため同法に未記載である点を、先ずは指摘し課題提起したものです。
【要望書】 都道府県民投票実施時の事務執行にかかる地方自治法改正についての要望
関係者の多大な尽力がみのり、このたび2月24日に在日米軍の利用に供する辺野古新基地建設にともなう大浦湾埋め立ての是非を問う沖縄県民投票が、全県で同日に一斉に行われることになった。しかし、このようになるまでに、沖縄県内全有権者の三割以上を占める5つの市が、沖縄県による度々の説得や行政指導にかかわらず、県民投票の事務執行を拒否し続けた。沖縄県内には11市11町19村の41市町村あり、拒否した5市とは、人口規模順に、沖縄市、うるま市、宜野湾市、宮古島市、石垣市である。
こうした事態が生じた理由は、2000年の地方自治法の改正に伴い、機関委任事務が廃止されるなど、国と都道府県、市町村の関係が上下関係ではなく対等な関係であることが謳われ、よって、都道府県の事務を市町村が執行しなければならない法的根拠がなくなったからである。この法改正自体は、地方の自立性自主性を尊重する地方自治を促進する観点から言って大変望ましいものである。しかし、当該市域内に、県民投票条例制定を求める市民による直接請求の署名が法定以上存在し、それに基づいて県議会が条例制定を決めたのにもかかわらず、当該市が、県民投票事務の執行を拒否する事態は極めて遺憾である。市民の投票権が奪われかねなかった今回の事態は、日本国憲法が保障する、主権在民や法の下の平等といった理念に照らし合わせても、現行の地方自治法には重大な瑕疵があると考えざるをえない。
こうしたことは、2000年の地方自治法改正の直後、2001年夏の段階ですでに認識されていたことである。その時、静岡県で静岡空港建設の是非を問う県民投票条例制定を求める直接請求が行われたとき、条例が制定された場合、複数の市町村が事務執行を拒否する意思表明が報じられるなどした。しかし、この時は県議会で条例が否決されたこともあり、それ以上の動きにはならなかった。こうした動きに加え、2012年にはやはり静岡県で、今度は浜岡原発の再稼働についての是非を問う県民投票条例直接請求活動が行われた際に、条例原案でこうした地方自治法の不備を乗り越えるための様々な工夫がなされたが、逆に、静岡県当局から条例原案の不備とみなされ、仮に条例が議会で可決したとしても、この条例原案に基づく住民投票執行は不可能と断じられる出来事が生じた。また、神奈川県において2009年3月に自治基本条例が制定されて以来、毎年、住民投票の事務執行について地方自治法の改正要求がなされているが、対応された形跡は見られない。
以上の経緯から、私たちは日本国憲法が保証する、主権在民や法の下の平等の理念を貫徹するために、現行地方自治法の瑕疵を是正するための現行地方自治法の改正を強く要求する。現在、宮城県で女川原発再稼働を問う住民投票条例制定の直接請求が行われており、また茨城県でも同様の動きがあることを確認している。こうした事態をかんがみ立法当事者におかれては、今国会会期中での可及的速やかな対応を求めるものである。
現行の地方自治法改正要望については別紙の通り。
地方自治法改正を求める有志
野本耕作(原発都民投票条例元請求代表者)
城間貴之(原発住民投票条例元サポーター)
<別紙>
記
• 地方自治法第2条9項における、第2号法定受託事務別表への記載の追加
【追加案】
(政令)地方自治法施行令(昭和22年政令第16号)
(事務)同政令96条の規定により条例制定または改廃請求者署名簿の効力が発生した都道府県民投票条例案で、都道府県議会の審議を経て可決成立した都道府県民投票条例にもとづく市町村が行う事務。
以上
2019年2月12日
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